かみくずレポート

越後妻有アートトリエンナーレ 大地の芸術祭2009

4.信濃川西岸

信濃川を渡る

お勧めにしたがって33を目指す。信濃川を渡り、対岸、再び山の中へ。3時をまわり、嫁さんは助手席で居眠りを始める。午前中の風景とはまた少し雰囲気が違う。河岸段丘の東岸と西岸、夕日を浴びるか朝日を浴びるかで、違いが出てくるのだろうか。そんなことを考えながら走っていたら、道を曲がりそこね、大幅に行き過ぎてしまった。

No.33 田島征三 絵本と木の実の美術館

引き返してようやく辿り着く。テレビでも紹介されていた、廃校を利用した作品。校庭に車を停める。入り口が判らず、体育館の通風窓から入ったら、受付の人に怒られてしまった。ここは土足厳禁である。

入り口にまわり、恐縮しながらスタンプを押してもらう。受付の女性はスタンプを押しながら、何度も「びっくりしたぁ」と言う。そういえば蕎麦屋でも、店員の女の子が注文を間違えて「びっくりしたぁ」と言っていた。これってこの地方独特の言い回しなのか。

見て廻る前に、「お勧め」の教えに従い、校舎内の閉店直前の喫茶店で一服、水出しアイスコーヒーを飲む。

校舎全体が「絵本」になっていて、ページをめくるように教室を巡って物語が進んでいく。主人公は、廃校時の在校生3人である。彼ら自身の実際の落書きが残っていたりして、虚と実が入り混じった感じ。自分がこうしてモデルになるのは、どんな気持ちだろう。小学生だから、多分照れくさいだろうと思う。

No.38 福武ハウス 2009

「ベネッセ」「福武書店」の福武である。

  • ゴ・ギョンホ 反射-窓
  • 越中正人 double word #28
  • 森弘治 質問のワークショップ 3つの質問
  • 大野智史 Primeval Forest as Maternal
  • 邱志傑 暴雨将至
  • 渡辺英司 蝶瞰図
  • 平野薫 無題
  • 千葉正也 無題
  • ヘレン・ファン・ミーネ Pool of Tears

渡辺英司 蝶瞰図

図鑑から切り取られた紙の蝶が、天井をびっしりと覆っている。

No.36 倉谷拓朴 名ヶ山写真館 遺影

福武ハウスから歩いてすぐのところにある、廃屋を利用した写真スタジオ。自分の遺影を撮ってもらうことができる。ポートレート撮影を伴うワークショップはよくあるので、気軽なものを想像していたのだが、これまでのアルバムを見ると、かなり本格的である(料金も本格的)。Tシャツで撮ってもらうわけにはいかないような、重みのある写真。自分の遺影を撮る場面を想像しながら、知らず知らずのうちにこれまでの生き方やこれからに自分について考えていることに気づく。それは、アルバムに写っている人たちの表情にも表れている。

撮影室のとなり、2階の休憩所で小銭を置いて麦茶をもらう。嫁さんと二人、窓枠に腰掛け、麦茶を飲みながら外の風景を眺める。

見事なまでの緑の絨毯と、蝉の声。