かみくずレポート

越後妻有アートトリエンナーレ 大地の芸術祭2009

3.十日町市街

昼飯

昼になって腹も減ってきた。国道117号線に入り北上。名物のへきそばを食べに十日町市街地へ向かう。市街地に近づくに従って建物も増え、作品巡りの観光客の数も多くなってきた。

番外(3) 小嶋屋本店 ヘぎそば

十日町はあまり大きな町ではないが、これまでずっと里山を旅してきたので、なんだか都会に見える。あらかじめ場所を調べた中で一番判りやすそうな店に向かう。が、なかなか見つからず何度もぐるぐる廻ってしまう。ようやく駐車場の入り口を見つけて駐車。

「へぎ」とは木の器のことで、この地方の「へぎそば」の特徴はつなぎに布海苔を使っていることらしい。だから麺の色が少し黒味がかっているが、食べてみると思いの他ツルっとしている。

美味しかったので、実家の土産に一箱買う。

キナーレ

No.39 原広司+アトリエ・ファイ建築事務所 越後妻有交流館「キナーレ」

日帰り温泉もある、地元の観光センターのようなところ。中心に正方形の池があり、それを回廊と建物が囲んでいる。総合案内所もあり、トリエンナーレの中核のひとつになっている。ここは体験型の作品が集まっていて、それぞれブースを出してワークショップを開いている。山を越え森を抜け、ようやくオアシスのバザールにやってきた探検隊のような気分だ。

武蔵野大学水谷俊博研究室 アーチの森2009

池の中に各ブース、会場全体が四角い木の枠で統一的にデザインされている。

原游 Sleeping Mail 時間差レター2

ハガキを買って投函すると、そのハガキに書かれた時間だけ「眠った」後で配達されるというもの。私は「街で0から100までの数字を見つけるまで」嫁さんは「雨で水瓶のかさがいっぱいになるまで」を買う。それぞれの眠りの「進行状況」は、作者のブログで随時報告されるそうだ。

こういう、時間を相手にした作品はとても好きだ。

中村未歩 絶対交換会

自分が持ってきたものと、その前に誰かが持ってきた何かを交換してくれるらしい。これはぜひやりたかったのだが、あいにく平日のためお休みだった。参加者のポラロイドが張られていて、人物と品物のアンマッチぶりがおかしい。

眞田岳彦 絲の家プロジェクト

柄が綺麗で、いかにも素朴な日本の織物という感じ。

その他もっといろんな作品があったのだが、写真に撮り損ねたものが多かった。

No.41 郷晃 シルクの水脈

建物のすぐ外側は常設の作品がいくつかある。これはそのひとつ。岩のオブジェ。眺めていると、高校生ぐらいの男女の集団がやってきて、作品の前で記念撮影を始めた。卒業アルバムだろうか。こういう作品や、自然や田園風景に囲まれて10代を過ごすのは、どんな気分なんだろう。ものすごく贅沢なことだと思う。が、地方に居ることは、進学も就職も都会に比べてハンディとなってしまう。

No.42 スティーブン・アントナコス 3つの門のためのネオン

こちらはカラフルな門。ガイドブックには、夜のライトアップされた写真が載っていて、そんな姿も見てみたい。

だが、夜まで居るわけにはいかないのだ。

番外(4) 首都大学東京都市システム科学域伊藤研究室 おススメ地域マップ

気がついたら嫁さんがいない。探していたら、ブースでアンケートに答えていた。首都大学東京(旧東京都立大学)大学院の研究だそうだ。対応していたのは、研究者なのにツンとしたところがまるでない、穏やかな女性。パソコンの画面を見ながら、いろんな嗜好の質問に答えていくと、最後、自分にマッチする場所を地図で教えてくれるというもの。途中から二人で答える。食い意地の張った回答を繰り返していたら、やっぱり食べ物関係の場所が出てきた。

行き場所までパソコンで選んでもらうなんて、と思うかもしれないが、これだけ作品が多く、どれも面白いのだから、多少自分の意思以外のものに委ねてみるのが、むしろ面白いと思った。