2010年11月7日 パブリックドメイン

池袋のフェスティバル/トーキョー。「パブリックドメイン」(演出:ロジェ・ベルナット )を観にいく。というかやりにくというべきか。新宿西口公演を舞台にしたワークショップのような野外劇。

内容が内容だけに、初演はいろいろトラブルがあるだろうと2回目の公演を選択したのだが、先週の台風で1回目の公演が流れ、今日が初日になってしまった。HPのプログラム以上の情報もなく、果たしてどんなことになるのか、まったく予想できないまま参加。

まだ公演中のため、ネタばれになるので詳細は書かないけれど、不思議な体験だったことは確かだ。ヘッドフォンを着け、そこから流れていく質問に導かれて物語を演じていく。通りがかりの人々に、我々はどう映っただろう。質問の中には、その人の人格の機微に触れるものもあり、それを表明する人の表情と、それを見る周りの視線、その両方をみる自分の中に泡立つものがあった。そういう考え方をするひとは世の中に当然何割かはいて、と頭で理解していることでも、それを表明する生身の表情、しぐさを目の前にすると、そういった「想像だけの理解」というものが軽率に思えてくる。

途中、質問が厳しくて、二人以上必要な筋書きで「演じ手」が男性独りしか集まらない場面があった。みんなが戸惑う中、男性の機転の利いた「演技」でストーリーはなんとか進んでいったが、こういうハプニングも芝居の一部と考えると面白い。もしかしたら、次の公演では質問をいろいろ練り直してくるかもしれない。けれど、あの場面では質問なんか無視して誰かが飛び出して行くのが良かったのだと思う。そういった「演じられた偶然性」があの芝居の本質なのだから。

ならお前が出て行けば?と思うかも知れないが、私は、敵対するグループの役だったので駄目だったのですよ。それに、求められていたのは「女優さん」でした。。。