2004年5月15日 「パッション」

映画「パッション」を観ました。子供のころテレビで観た「キングオブキングス」がとても感動的だったので、この映画も前からずっと気になっていたのです。暴力シーンが強烈だと聞いていたのでかなり身構えて行ったのですが、それは予想していたほどではなかった。とはいっても、イエスが十字架に架けられる場面はかなり顔が歪んだし、前に座ってた女の子は手で顔を覆ってました。イエスの痛みを徹底的なリアリズムで描くことによって、観る側に人間の肉体の限界と弱さを突きつけ、イエスの肉体を越えた思想を語る。それはかなり成功していたように思います。ただ、もっと難解な方向に行っても良かったのではないかな。終盤、いかにもアメリカ映画的な解り易い描写があって、物語の崇高さがややそがれてしまったように思います。痛みを通して聖書の世界を描くという点で、遠藤周作の「沈黙」を思い出しました。

夜、テレビで高石ともやと高田渡のドキュメンタリーを観る。60年代フォークについてはあまり思い入れはないのだけれど、高田さんは、以前NHKでなぎら健壱がやったフォークの特集番組にゲストで出ていたのを観て、その超然とした振る舞いや、ひねりの利いた歌がとても面白く、それ以来すごく気になっていた人。活字では知る機会があり、どんなひとかはある程度知識があったが、久しぶりに映像でみたら、やっぱり言われている通りのひとで、ちょっと嬉しくなった。