2013年3月23日 バラスト詰め放題

東急東横線の旧渋谷駅跡でイベントがあるというので行ってきた。
一駅分の入場料を払って中に入る。ホームの間の線路に蓋がされ、写真パネルや鉄道グッズの出店、子供向けの記念撮影コーナーなど。 中央にはステージも組まれ、向谷実のライブなどあるらしい。

この日一番の目的は「バラスト持ち帰り」の企画。一日限定1,000名、500円の袋を買うと、ホーム先端の先に広がる線路に下りて、バラストを好きなだけつめて持ち帰れるというもの。線路に降りるのは、都会だとなかなかできない体験だ。

バラスト詰め放題といっても、持って返って何に使うんだということで、線路に降り立って駅を眺める。これまでなかった目線だ。

今から20年以上前、大学通学の乗換駅だった。休みの日も、映画を観に、芝居を観に、あるいは何の目的もなくとりあえず、何度となく向かった駅だ。彼に振られて呆然と電車を待っていたこともあった。しばらく後、その女性とばったり会ったのも、東横線から山手線に乗り換えるあの階段の途中だった。しばらく後、それは今でもずいぶんと長い期間だったような気がするのに、 実はたった4年間の内の出来事だったのだ。

時間はずいぶん過ぎてしまった。

2009年9月27日 黄金町バザールと横浜開国博

先々週、独りでもういちど越後妻有に行き、先週の5連休は疲れてほとんど家。昨日は黄金町バザールと横浜開国博へ行った。

黄金町バザールは去年以上にゆるーい感じでこちらもゆるーく楽しめた。開国博は、、、開幕直後に赤レンガまで行きながら中に入らず帰り、特に行く気はなかったのだけれど、最近あちこちでいろんなことを言われていて、そこまで言われているのなら、ひとつ自分の目で確かめなくては、と思い、観にいくことにした。夕方5時過ぎると安くなるので、それを狙ってベイサイドエリアへ。

自分の目で確かめた感想はというと、ラ・マシンは凄く良くて、でも他がイマイチでと、世間一般の感想、そして事前の予想とほぼ同じでした。

ただ、嫁さんとはじめそういう感想をぶつぶつ言いながら廻っていたんですが、土産物屋のおじさんや、どこかのブース(よく覚えてないけど、消せる落書きができるところ)のお姉さん、歴史ブースの瓦版売りとか、来た人を一生懸命楽しませようとしている姿を見て、少なくともこの場で、そういうことを大声で言うのは止めようと思った。自分は地元だから好きな時間に気軽に来て勝手なこと言えるけれど、たとえば、地方からわざわざ赤レンガを観にやってきた親子連れが、すぐ横でこんなイベントやっていたら、どんなに慎重な親でも、寄らずに帰ることはできないだろう。そうして入ってきた子供たちが、横で「つまんねー」と言ってるのを聞いたら、どう思うだろうか。実際、そういう無神経な光景を何度も見た。言ってることは自分の感想と変わらないけれど、それでも何か間違っていると感じた。ここは「ななし」の世界ではないのだ。

せっかく横浜に来たのだから、たとえ期待通りでなかったとしても、それは例えば、札幌の時計台が小さかったり、長崎の出島が島でなかったりといった、よくある「観光地がっかり」のひとつとして、いつまでも笑いながら思い出してくれればと思う。そう願うことは決して迎合でも事なかれ主義でも空気を読むことでもなく、逆にこの問題をきちんと批判していくための、地元民としてのささやかな「落とし前のつけ方」だと思っている。

7時からのラ・マシンを見た後、急いで大桟橋に向かう。日比野克彦のFUNEプロジェクト。終了時間直前で10分ぐらいしかなかったが、とても見ごたえがあった。150艘のダンボール船はどれもユニークで、その発想の豊かさに驚き、後で、すべて実在の船があると聞いて更に驚く。この企画、去年の横浜トリエンナーレのときから気になっていたけれど、そのときは見ることができず、今回公式サイトで事前に調べたものの、情報が分かりづらくて、無料だということも、閉館時間が早いことも、着いてから初めて知った。越後妻有とも関係しているという。どうしてこっちをもっと宣伝しなかったんだろう。

チケットが高すぎるとか、せめてフリーパスにしろとか、あのクモを街に出せとか、私のような素人が思いつくことは、たぶん現場は先刻気づいていたはずだ。だから、問題はそんなことではないと思う。適正価格ならうまくいったのか。あの過大なグッズの量は、見込み違いだけの問題なのか。クモを外に出すことについては、警察の許可が出なかったと新聞に書いてあったけれど、そこを頑張ってなんとかするのが行政の役割ではなかろうか。勝手な推測だけれど、経済効果や採算といった数字ばかりに目を奪われて、中身を見失っていたことが、コンテンツの貧弱さをうみ、現場の足かせになっていたのではないか。だから、チケットが高いというのは、事実ではあるけれど、表面を同じ価値観で反対側からなぞっているだけで、本質を撃っていないように思う。

閉館のアナウンスが流れ、ダンボール船の林を縫って、慌てて出口へ向かう。途中、小さな破損を熱心に直している係員の姿があった。別の係員の女性が、片付けていた船を誤って倒してしまうと、小さな子供たちが何人も駆け寄ってきて、一緒になって起こしていた。それを見て感じたこと思ったことが、イベント全体でもっと感じられたら良かったのにと思う。